環境と調和のとれた食料システム確立に向けた投資促進税制の創設

速報 令和4年度(2022年度)税制改正解説

1. 改正の概要

(1) 趣旨・目的

農林水産業の持続可能性を確保する観点から、農業の持つ物質循環機能を活かすとともに、生産性との調和に留意しつつ、肥料・農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した生産を行うことが重要である。
そこで、「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(仮称)」において規定される予定の「環境負荷低減事業活動実施計画(仮称)」又は「特定環境負荷低減事業活動実施計画(仮称)」に基づき導入される、環境負荷の原因となる生産資材の使用量を減少させる設備等、及び、「基盤確立事業実施計画(仮称)」に基づき導入される、化学農薬・化学肥料に代替する生産資材を製造する設備に対して、税制上支援する措置が創設される。

【支援イメージ】

図6-3

(2) 内容① ~環境負荷低減事業活動用資産の取得等~

「環境負荷低減事業活動実施計画(仮称)」又は「特定環境負荷低減事業活動実施計画(仮称)」の認定を受けた青色申告書を提出する農林漁業者が、環境負荷低減事業活動用資産(※1)の取得等をして、その法人の「環境負荷低減事業活動(仮称)」又は「特定環境負荷低減事業活動(仮称)」の用に供した場合、特別償却ができる

適用要件
① 青色申告書を提出する農林漁業者(当該農林漁業者が団体である場合におけるその構成員等を含む)
②「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(仮称)」の「環境負荷低減事業活動実施計画(仮称)」又は「特定環境負荷低減事業活動実施計画(仮称)」の認定を受けること
③ 環境負荷低減事業活動用資産(※1)の取得等をし、その法人の環境負荷低減事業活動(仮称)又は特定環境負荷低減事業活動(仮称)の用に供すること

(※1)「環境負荷低減事業活動用資産」とは、「認定環境負荷低減事業活動実施計画(仮称)」又は「認定特定環境負荷低減事業活動実施計画(仮称)」に記載された環境負荷低減事業活動又は特定環境負荷低減事業活動の用に供する設備等に該当する機械その他の減価償却資産をいう。

取得価額 対象資産 税制措置
建物及びその附属設備並びに構築物 左記以外の減価償却資産
100万円以上

① 次のいずれかに該当する設備等であること
(イ) 慣行的な生産方式と比較して環境負荷の原因となる生産資材の使用量を減少させる設備等(異なる営農条件で有効性の確認が行われたものに限る。)
(ロ) 環境負荷低減事業活動(環境負荷の原因となる生産資材の使用量を減少させる生産方式による事業活動に限る。)の安定に不可欠な設備等

② 機械装置及び器具備品にあっては、次のいずれにも該当するものであること。
(イ)「認定基盤確立事業実施計画(仮称)」に従って行われる「基盤確立事業(仮称)」により生産されたものであること
(ロ) 一定期間内に販売されたモデルであり、上記イの認定基盤確立事業実施計画の認定時点でその販売台数がその販売者の旧モデルの販売台数を下回っているモデル(ベンチャー企業等が初めて事業化したモデルを含む。)のものであること。

特別償却
取得価額×16%
特別償却
取得価額×32%

 

内容② ~基盤確立事業用資産の取得等~

「基盤確立事業実施計画(仮称)」の認定を受けた青色申告書を提出する法人が、基盤確立事業用資産の取得等をして、その法人の一定の基盤確立事業の用に供した場合、特別償却ができる。

適用要件
① 青色申告書を提出する法人
②「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(仮称)」の「基盤確立事業実施計画(仮称)」の認定を受けること
③ 基盤確立事業用資産の取得等をし、その法人の一定の基盤確立事業の用に供すること

 

対象資産 税制措置
建物及びその附属設備並びに構築物 左記以外の減価償却資産
「基盤確立事業用資産」・・・「認定基盤確立事業実施計画」に記載された基盤確立事業の用に供する設備等に該当する機械その他の減価償却資産で、化学農薬又は化学肥料に代替する生産資材(普及割合が一定割合以下のものに限る。)を製造する専門の設備等 特別償却
取得価額×16%
特別償却
取得価額×32%

 

2.適用時期

環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(仮称)の施行の日から2024年(令和6)年3月31日までの間に資産の取得等をして、事業の用に供した資産に適用される。

3. 実務上の留意点

所得税についても同様の改正が行われる。

4. 今後の注目点

  • 環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律の施行日及び制定内容について
  • 環境負荷低減事業活動実施計画の概要、具体的な認定要件、申請方法等
  • 基盤確立事業実施計画の概要、具体的な認定要件、申請方法等

 

内容につきましては、「令和4年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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