返還インボイスの交付義務の見直し

速報 令和5年度(2023年度)税制改正解説

1. 改正の概要

(1) 主旨・目的

インボイス制度において売手から買手へ交付されたインボイスにつき、値引き等が行われた場合、返還インボイス(適格返還請求書)を別途交付する必要があるが、例えば売掛金の回収にあたり、買手が支払う振込手数料を売手負担とする場合にも、「値引き」として返還インボイスの交付義務が生ずることになり、実務上の煩雑さに対する懸念があった。そこで、一定金額以下の値引き等について返還インボイスの交付を不要とする。

(2) 内容

売上げに係る対価の返還等*に係る税込価額が1万円未満である場合には、返還インボイス(適格返還請求書)の交付義務を免除する。
* 返品・値引き・割戻しによる、課税資産の譲渡等の税込価額の全部若しくは一部の返還又は売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額をいう。

図2-Aug-25-2023-05-51-49-1373-AM

2. 適用時期

2023年(令和5年)10月1日以後の課税資産の譲渡等につき行う売上げに係る対価の返還等について適用。

3. 実務上の留意点

実務上、振込手数料を売手負担とする場合、売手側で売上値引とする処理と支払手数料(課税仕入れ)とする処理の2つの方法があるが、今年度の改正により売上値引として処理することで、事務負担は軽減される。

 

 

内容につきましては、「令和5年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

速報 令和5年度(2023年度)税制改正解説」へ戻る

「税制改正解説」へ戻る

「インサイト」へ戻る


税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から