極めて高い水準の所得に対する負担の適正化

速報 令和5年度(2023年度)税制改正解説

1. 改正の概要

(1) 背景

高所得者層ほど所得に占める株式等や土地建物の譲渡所得の割合が高いことから、高所得者層で所得税の負担率が低下するという逆転現象が生じていた。給与等は高額になるほど税率が上がる累進制の課税である一方、株式等や土地建物の譲渡所得の売却益に対する税率は一律15%であるため、株式等の譲渡が多いほど税負担が低くなる。

(2) 内容

(基準所得金額(注1)-3.3億円)×22.5%が基準所得税額(注2)を超える場合は、差額金額に相当する所得税を課する。
(※1)基準所得金額とは、その年分の所得税について申告不要制度を適用しないで計算した合計所得金額(適用する特別控除額を控除した後の金額)をいう。
(※2) 基準所得税額とは、その年分の基準所得金額に係る所得税の額をいい、分配時調整外国税相当額控除及び外国税額控除を適用しない場合の所得税をいう。なお、附帯税及び本内容により課される所得税の額を除く。

2. 適用時期

令和7年分以降の所得税より適用

3. 実務上の留意点

  • 申告不要制度とは、①確定申告を要しない配当所得等の特例及び②確定申告を要しない上場株式等の譲渡による所得の特例をいう。
  • 計算の基準となる合計所得金額の中には源泉分離課税の対象となる所得金額(例:国内における預貯金から発生する利子所得や一定の割引債の償還差益)や、NISA制度において非課税とされる金額は含まれない。

4. 今後の注目点

本件措置により、地方税にどのように影響するかどうかを確認する必要がある。

 

 

内容につきましては、「令和5年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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