交際費等の損金不算入制度の延長・拡充

速報 2024年度(令和6年度)税制改正解説

1. 改正の概要

(1)趣旨・背景

地方活性化の中心的役割を担う中小企業の経済活動の活性化や、「安いニッポン」の指摘に象徴される飲食料費に係るデフレマインドを払拭する観点から、交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準について、会議費の実態を踏まえ、現行の1人当たり5,000円以下から10,000円以下に引き上げる。

 

(2)内容

交際費等の損金不算入制度が、3年間延長され、交際費等から除かれる飲食費等が一人当たり5,000円以下から10,000円以下に拡充される。

  改正前 改正案
損金不算入制度の適用期限 2024年(令和6)年3月31日までに開始する事業年度 2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度
交際費等から除かれる飲食費等 一人当たり5,000円以下の飲食費等(※3) 一人当たり10,000円以下の飲食費等(※3)
損金算入額 中小法人以外 飲食費等(※3、4)の50%を損金算入 左記同様
中小法人(※1) ① 定額控除限度額(年800万円)まで損金算入(※2)
② 飲食費等(※3、4)の50%を損金算入
⇒ 上記①と②は選択
左記同様

(※1)中小法人とは、期末資本金の額等が1億円以下の法人(資本金の額等が5億円以上の法人の完全子法人等を除く)等をいう。
(※2)定額控除限度額(年800万円)を超える金額については、全額損金不算入となる。
(※3)飲食費には、専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用(いわゆる社内接待費)は含まれない。
(※4)資本金の額等が100億円を超える法人については飲食費等の全額が損金不算入となる。

 

2. 適用時期

交際費等から除かれる一人当たり10,000円以下の飲食費等の取り扱いについては、2024(令和6)年4月1日以後に支出する飲食費等から適用される。


3. 実務上の留意点

  • 会計システム(補助科目の設定等)や経費精算ルール、社内規程等の見直しが必要である。
  • 特に3月決算法人以外の法人については、2024(令和6)年4月1日の属する事業年度中において、一人当たり5,000円以下の基準と一人当たり10,000円以下の基準が混在するため留意が必要である。

 

 

内容につきましては、「令和6年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

「速報 2024年度(令和6年度)税制改正解説」へ戻る
「税制改正解説」へ戻る
「インサイト」へ戻る

税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から