特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

速報 2026年度(令和8年度)税制改正解説

1. 改正のポイント

(1) 趣旨・背景

「強い経済」を実現するための対応として、国内における高付加価値化型の設備投資を促進する観点から、全ての業種を対象とし、大規模かつ高付加価値の投資を推進する大胆な設備投資促進税制を創設する。

(2) 内容

青色申告書を提出する法人が、特定生産性向上設備等(仮称)を取得等し、事業の用に供した場合に、即時償却又は税額控除が認められる。

適用対象者 青色申告書を提出する法人
ただし、中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)又は農業協同組合等以外の法人については、次の①または②に該当しない場合には適用不可(繰越税額控除制度を除く。)。
① 当期所得≦前期所得
② 次のいずれも満たす場合
・継続雇用者給与等支給額≧継続雇用者比較給与等支給額×101%(※1)
・国内設備投資額>当期償却費総額の30%(※2)
対象資産 その法人の事業の用に直接供される建物、建物附属設備、構築物、機械装置、工具及び器具備品、ソフトウェアで一定規模以上のもの(※3)
なお、事務用器具備品、本店、寄宿舎等の建物、福利厚生施設等、貸付けの用に供されるものは対象外

(※1)資本金の額等が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合又は常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合には、102%
(※2)資本金の額等が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合又は常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合には、40%
(※3)一定の規模以上のものとは、それぞれ次のものをいう。

  • 建物:一の取得価額が1,000万円以上のもの
  • 建物附属設備:一の取得価額が120万円以上のもの(一の取得価額が60万円以上、かつ、一事業年度における取得価額の合計額が120万円以上のものを含む。)
  • 構築物:一の取得価額が120万円以上のもの
  • 機械装置:1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
  • 工具及び器具備品:1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの、(1台又は1基の取得価額が40万円以上、かつ、一事業年度における取得価額の合計額が120万円以上のものを含む。)
  • ソフトウエア:一の取得価額が70万円以上のもの

 

(※4)取得等とは、取得又は製作若しくは建設をいい、建物にあっては改修(増築、改築、修繕又は模様替をいう。)のための工事による取得又は建設を含む。中古資産の取得は含まれない。

 

2. 適用時期

改正産業競争力強化法の施行日~2029年(令和11年)3月31日までの間に経済産業大臣の確認を受け、その確認を受けた日以後5年を経過する日までの期間内に、事業の用に供した資産に適用される。

 

3. 影響・対応策

  • 会社規模の制限も無く、全ての業種を対象法人としているため、他の設備投資に関する税制の適用が難しい法人であっても適用可能性がある。ただし、中小企業者等以外の法人については、一定の場合(1.改正のポイント(2)内容の適用対象者の箇所に記載の①②のいずれにも該当しない場合)に本制度の適用ができないため留意する必要がある。
  • 対象資産の取得価額の合計額が35億円以上(中小企業者等については、5億円以上)で、かつ、投資計画における年平均の投資利益率が15%以上となるため、大規模かつ付加価値の高い設備投資が適用対象となる。
  • 即時償却は、建物や構築物を含めた幅広い減価償却資産に対して認められるため、会計や税務への大きな影響が想定される。また、税額控除は、法人税額の20%を上限とし、一定の要件を満たす場合には控除限度超過額を3年間繰り越すことが可能である。

 

4. 実務のポイント

  • 投資計画の期間中は、地域未来投資促進税制等の他の設備投資に関する税制との重複適用が認められないため、中期的な投資計画を踏まえ、適用する税制を事前に検討する必要がある。
  • 控除限度超過額の繰越控除の適用要件である「国際経済事情の急激な変化に対応するための計画の認定」について、具体的な要件、申請方法等を確認する必要がある。
  • 特定生産性向上設備等に該当するための基準である「生産性向上設備等の導入がその法人の設備投資を増加させるものであること等」について、具体的な要件を確認する必要がある。
  • 経済産業大臣の確認手続きの具体的な時期(取得前、着工前等)を確認する必要がある。

 

内容につきましては、「令和8年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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