グループ通算制度における資産調整勘定対応金額等の加算措置の見直し
速報 2026年度(令和8年度)税制改正解説
1. 改正のポイント
(1) 趣旨・背景
- 投資簿価修正において、資産調整勘定対応金額等があるときは、その金額を簿価純資産価額へ加算することができることとされている。
- この点、通算グループ加入前に離脱法人株式の譲渡が行われていた場合には、資産調整勘定対応金額等として加算できる金額につき、譲渡した株式に対応する金額を控除する調整(=加算措置の適用なし)がなされる。
- そのため、完全子法人化(通算グループ加入)の際、全部取得条項付種類株式に係る取得決議により、離脱法人株式の譲渡及び取得が行われた場合については、通算グループ加入前の譲渡として、調整の対象として取扱われることとなる。
- しかしながら、上記の取得決議による株式の譲渡及び取得は実質的には株式の内容の変更であると考えられることから、調整の対象となる「譲渡」の範囲について縮小する見直しが行われる。
(2) 内容
- 通算グループ加入前に離脱法人株式の譲渡をした場合の、資産調整勘定対応金額等の調整の対象となる譲渡から、全部取得条項付種類株式に係る取得決議による完全子法人化の際の離脱法人の株式の譲渡が除外される(「譲渡」の範囲の縮小)。
- なお、上記の取得決議により交付を受けた離脱法人の株式の価額が、その譲渡をした株式の価額とおおむね同額となっていないと認められる場合には除外されない(改正前と同様に調整の対象となる譲渡に該当)。
2. 適用時期
大綱上、明確な記載はない。
3. 影響・対応策
- 離脱に係る投資簿価修正に関する改正のため、典型的には通算法人(スクイーズアウト(SO)実施者であるM&Aにおける買手)が離脱法人(対象会社)株式を売却する際に、本改正による影響がある(この場合、改正前と比べて、譲渡益が減少又は譲渡損が増加)。
※買収時や完全子会社化の際における課税関係の改正ではない。 - 株式交換や100%子会社化における株式併合・株式売渡請求との比較において、全部取得条項付種類株式を採用した場合の投資簿価修正に係るデメリットがなくなる。
- 譲渡から除外される範囲について、「~完全子法人化の際の離脱法人の株式の譲渡」とされていることからすると、完全子法人化以外での局面における全部取得条項付種類株式を用いた譲渡については、改正の影響はないと考えられる。
4. 実務のポイント
- 改正前に実施された取得決議による株式の譲渡についても、改正の適用対象となるか確認をする必要がある。
- 「完全子法人化の際の」との点、SO実施者(買手)が、SOにより対象会社が発行する株式の100%を保有することとなる場合だけが対象となるのか(条文の確認)
内容につきましては、「令和8年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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