暗号資産の分離課税化

速報 2026年度(令和8年度)税制改正解説

1. 改正のポイント

(1) 趣旨・背景

近年、暗号資産投資が増加しているが、上場株式等の金融商品から生じる所得は基本的に分離課税(20.315%)が適用される一方で、暗号資産から生じる所得は総合課税の対象(最大55.945%)である。令和7年の税制改正大綱において、投資家保護のための法整備等を前提に暗号資産から生じる所得について課税の見直しが検討されていた。

(2) 内容

① 分離課税

暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等(特定暗号資産)の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については他の所得と分離して20.315%の税率により課税する。

② 繰越控除

特定暗号資産を暗号資産取引業を行う者に対して譲渡等をしたことにより生じた損失の金額のうち、その譲渡等をした年分の特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額の計算上控除しても控除しきれない金額があるときは、一定の要件の下で、その控除しきれない金額についてその翌年以後3年間の特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額からの繰越控除を可能とする。

③ 総合課税の対象となる暗号資産

総合課税の譲渡所得の基因となる暗号資産については、次の取り扱いとなる。

  • 譲渡所得の特別控除(50万円控除)を適用しない
  • 5年を超えて保有した資産に係る譲渡所得の金額の計算上2分の1とする措置を適用しない
  • 譲渡所得の計算上生じた損失の金額については、他の総合課税の対象となる所得との損益通算を適用しない

2. 適用時期

金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後に行う特定暗号資産の譲渡等について適用される。

 

3. 影響・対応策

所有する特定暗号資産の処分時期の判断が重要となる。

  • 含み益に対する総合課税、分離課税の有利判定
  • 含み損の繰越控除による翌年以後への繰り越し

 

4. 実務のポイント

  • 特定暗号資産の譲渡等による繰越控除の適用要件の確認が必要となる。
  • 暗号資産取引業者を通さない暗号資産の譲渡等に関する課税の取り扱いについて確認が必要となる。
  • 暗号資産が国外転出時課税等の対象資産となるか確認が必要となる。

 

各国税制比較

日本
  • 雑所得として総合課税(支払手段)
  • 税率最大55%
  • 年末調整済み給与所得者で、該当所得20万円以下なら、確定申告不要
アメリカ
  • キャピタルゲイン課税(通貨ではない資産)
  • 1年以上保有した場合、税率最大20%
  • 1年未満の保有の場合は通常の累進課税
イギリス
  • キャピタルゲイン課税(のれん以外の無形資産)
  • 20%固定税率(納税者区分による)
ドイツ
  • キャピタルゲイン課税(その他資産)
  • 年間利益が600ユーロ以下の場合は課税されない
  • 1年以上保有している場合には原則課税されない
フランス
  • キャピタルゲイン課税(投資資産)
  • 30%固定税率(12.8%、社会保険料負担17.2%)と累進税率を選択可
  • 年間利益が305ユーロを超えない限りは課税されない

出典元 「2026年度 税制改正要望書」概要
(2025年7月30日 一般社団法人 日本暗号資産等取引業協会/一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会)

※ 日本の税率表記は復興特別所得税を考慮していない

 

内容につきましては、「令和8年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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