個人住民税における寄附金税額控除限度額(ふるさと納税)の見直し
速報 2026年度(令和8年度)税制改正解説
1. 改正のポイント
(1) 趣旨・背景
ふるさと納税制度は、所得が高い人ほど税額控除額の限度額が高くなることから高所得者の節税メリットが大きくなっている。また、高所得者ほど高額な返礼品を受け取ることができることになり、公平性の観点から課題があった。
(2) 内容
ふるさと納税をした場合、その支出額は所得税においては所得控除の適用を受け、住民税においては税額控除が、一定の算式のもと適用される。ふるさと納税をした個人の所得状況等から算定される寄附金の限度額以内であれば、ふるさと納税の支出金額から2,000円を控除した金額について、所得税・住民税が減額されるため自己負担2,000円でふるさと納税を行うことが可能である。
当該制度のうち、個人住民税におけるふるさと納税による寄附金の税額控除制度について、特例控除額の限度額が以下のとおり改正される。(道府県民税・市町村民税の限度額合計:193万円)
| 改正前 | 改正後 | |
| 道府県民税 | 個人住民税所得割額の2割 | ①、②のいずれか低い金額 ① 個人住民税所得割額の2割 ② 772,000円(指定都市に住所を有する場合、386,000円) |
| 市町村民税 |
①、②のいずれか低い金額 |
(3) 控除限度額改正による影響
【試算の前提】
- 単身者で給与収入1億円(給与所得9,805万円)、住民税所得割980.5万円の方が445.3万円のふるさと納税をした場合
- 基礎控除以外の所得控除及び税額控除は考慮しない

(4) 改正前後の自己負担2,000円で出来る寄附金額の目安比較表
【試算の前提】
- 単身者の場合
- 基礎控除以外の所得控除及び税額控除は考慮していない
①給与所得のみ(収入金額)
(単位:万円)
| 給与収入 | 改正前 | 改正後 | 控除減少額 |
| 5,000 | 218.3 | 218.3 | 0.0 |
| 8,000 | 354.5 | 354.5 | 0.0 |
| 9,000 | 399.9 | 399.9 | 0.0 |
| 9,500 | 422.6 | 422.6 | 0.0 |
| 9,800 | 436.2 | 436.2 | 0.0 |
| 9,900 | 440.7 | 438.2 | ▲ 2.5 |
| 10,000 | 445.3 | 438.2 | ▲ 7.1 |
| 20,000 | 899.3 | 438.2 | ▲ 461.1 |
②上場株式等の譲渡所得等の分離課税所得のみ(所得金額)
(単位:万円)
| 所得金額 | 改正前 | 改正後 | 控除減少額 |
| 5,000 | 67.1 | 67.1 | 0.0 |
| 8,000 | 107.3 | 107.3 | 0.0 |
| 10,000 | 134.0 | 134.0 | 0.0 |
| 15,000 | 201.0 | 201.0 | 0.0 |
| 18,000 | 241.2 | 241.2 | 0.0 |
| 19,000 | 254.6 | 254.6 | 0.0 |
| 20,000 | 267.9 | 258.6 | ▲ 9.3 |
| 30,000 | 401.8 | 258.6 | ▲ 143.2 |
2. 適用時期
2028(令和10)年度以後の個人住民税について適用する。
3. 影響・対応策
給与収入が約1億円以上の高所得者等について、寄附金の税額控除額に設けられた定額上限を意識したふるさと納税が必要となる。
4. 実務のポイント
- 住民税は前年の所得を基に計算されるため、改正の影響を受ける者は2027(令和9)年以降の寄附から限度額計算に留意する必要がある。
- 本改正による影響はないが、受け取った返礼品は一時所得の対象となるため引き続き留意が必要である。
内容につきましては、「令和8年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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