税のトピックス

2026年6月26日

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非上場株式の純資産価額方式 (法人税等相当額の控除の可否)

非上場株式の純資産価額方式(法人税等相当額の控除の可否)

1. はじめに

防衛特別法人税の創設を受け、令和8年4月1日以降に非上場株式の相続・贈与があった場合の純資産価額方式による評価については、評価差額に対する法人税等相当額計算上の控除割合を37%から38%に引き上げる財産評価基本通達(以下、本文において「評基通」)の改正が行われました。

ところで、この法人税等相当額は、控除できる場合と控除できない場合があり、その判断については、実務に携わる方なら誰でも一度は悩まれるのではないでしょうか。そこで、本稿では、この違いについて可能な限り分かりやすくイメージ付けをしてみたいと思います。

 

2. 評基通に従って評価するなら基本的には控除可能

評基通186-2では、非上場会社が有する資産・負債の相続税評価額と帳簿価額との評価差額に対して法人税等相当額の控除ができる旨が記載されており、この通達に従って株価を評価する限りは基本的に控除可能といえます。

では、なぜ法人税等相当額を控除するのでしょうか。

「国税速報」(財)大蔵財務協会・昭和47821日・第2525号によれば、この通達の制定過程で念頭に置かれていたのは、個人事業主と小規模な非上場会社の株主の事業財産の所有形態はほぼ変わらないという前提でした。そのうえで、株主については、事業財産の所有権はあくまでも会社にある関係上、会社を解散しなければ直接手元に置くことができません。そこで、当該制約に対する配慮として、解散手続きに伴い発生する法人税等の合計税率を株価評価上の斟酌割合として採用しました。

 

3. 評基通に従っていたとしても控除できない場合

このように、個人事業との差異への配慮から生まれた法人税等相当額の控除ですが、この配慮が適さないケースとして以下の規定が定められています。

 

① 現物出資等受入れ差額がある場合(評基通186-2(2))

現物出資を始めとする組織再編成に伴い受け入れる株式等の資産の帳簿価額が、受入れ時の時価から見て著しく低い場合には、当該資産の帳簿価額を相続税評価額と同額にすることで、評価差額が生じないようにする措置です。こちらは、バブル期に横行した租税回避スキームへの対抗策として制定されました。

 

 

非上場会社が保有する別の非上場株式を評価する場合(評基通186-3

例えば、評価対象の非上場会社が子会社株式を持っていたとしても、当該子会社株式の純資産価額計算上、その評価差額に対する法人税等相当額は控除しません。これは、事業財産の一部に過ぎない子会社の株式についてまで解散を念頭に置く必要がないことによります。また、もし、子会社の株式にも法人税等相当額の控除を許してしまうと、①と同じように租税回避に利用される懸念があるため、その防止という側面もあります。

 

 

③ 所得税法・法人税法上の株価評価の場合(所得税基本通達59-6(4)・法人税基本通達9-1-14(3))

所得税・法人税の計算において非上場株式を評価するケースは、その会社が評価基準日において、いくらで売却できるのかという視点で考えます。会社が売却できる以上、事業が継続していく前提ですので、会社の解散が前提となる法人税等相当額の控除は、継続企業の価値算定という趣旨に馴染まないといえます。

また、第三者への事業譲渡を想定した場合、法人税等相当額を控除した価額で株価を提示すれば純粋に損をすることになりますので、経済的にも不合理といえます。

 

4. おわりに

法人税等相当額の取り扱いについては、相続や贈与といった財産承継の場面では①②のように租税回避への対抗策としての観点から、所得税・法人税計算の場面では③のように継続企業としての適切な企業価値の算定という観点から、控除できない場合が規定されています。

そして、これらを総合すると、相続・贈与のための評価で、かつ、他の非上場会社の株式等の資産が関係しない範囲で法人税等相当額の控除は適用できるといえます。

 

執筆:青山 浩之   aoyamah@yamada-partners.jp

 

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