海外デスクレポート

2024年4月16日

刑法改正 ー不正取り締まり強化ー (中国)

刑法改正 ー不正取り締まり強化ー (中国)

全国人民代表大会常務委員会より20237月に草案が提出された刑法改正案が、20231229日に可決されました。改正法の施行日は202431日です。贈賄と腐敗にスポットを当てた改正で、重罰が課される項目として以下が具体的に列挙されています。

【重罰項目】

① 賄賂を複数回又は複数人に提供する行為
② 国家公務員に賄賂を提供する行為
③ 重要な国家的活動、重要プロジェクト、または主要プロジェクトにおいて賄賂を提供する行為
④ 監察職員、行政法執行職員、司法職員に賄賂を提供する行為
⑤ 生態学と環境保護、金融、生産安全、食品と医薬品、災害救援、年金と社会保障、教育と医療などの分野に賄賂を提供する行為
⑥ 違法行為又は犯罪行為を行う目的で賄賂を供与する行為違法な利益を賄賂に利用する行為

 

また、民間企業への処罰、贈賄側への処罰が強化されている点も今回の改正の特徴です。

【処罰強化の概要】

  • 賄賂供与側の刑罰は 「5年以下の刑罰」から「3年以下の懲役または短期拘禁」若しくは、「3年以上10年以下の懲役」の2段階に改正。
  • 個人贈収賄と民間企業贈収賄の刑罰に相違があったため、民間企業の贈収賄刑罰の強化。
  • 民間企業内部職員の汚職に係る処罰の強化。
    贈答は、中国において根強く習慣づいているものですが、値引きに該当しないキックバックやリベート等も商業賄賂として刑法の対象になる可能性があることから、企業としても内部コンプライアンスの見直しが求められます。

刑法修正案:中华人民共和国刑法修正案(十二)__中国政府网 (www.gov.cn)

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 大井 高志

    この記事の著者

    大井 高志
    税理士法人山田&パートナーズ パートナー
    亜瑪達商務諮詢(上海)有限公司 総経理
    税理士 公認不正検査士

    2013年山田&パートナーズ入所。大手金融機関への出向後、2016年より上海へ赴任。中国系会計事務所への出向を経て2019年より現職。中国・香港・台湾における組織再編、進出・撤退支援、M&A関連業務、移転価格税制コンサルティング、コーポレートガバナンス、不正調査対応等のコンサルティング業務に従事。

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