海外デスクレポート

2025年12月4日

受益所有人情報管理方法 (中国)

受益所有人情報管理方法 (中国)

制度の概要

中国人民銀行と国家市場監督管理総局が資金洗浄防止法及び企業登記管理の関連法律・行政法規に基づき〔2024〕第3号「受益所有人情報管理方法」を20244月に公布しました。

当該制度は企業や金融機関に対して最終的な受益所有者(Beneficial Owner)である自然人の情報を収集・管理・報告する義務を定めたもので、マネーロンダリング防止、テロ資金対策、金融透明性の強化を目的としており、金融リスク管理と国際コンプライアンスの強化により国際的な金融取引における信頼性の確保を目的としています。

受益所有者の備案届出の締切は25111日になりますが、締切を超過した202511月現在、届出が受理されている機関もある模様です。

制度の背景

今日中国では金融監督体制の強化が進められており、すべての金融活動を監督対象に含める方針が打ち出されています。また国際的な金融規制(FATF勧告など)に沿って、企業の「名義上の株主」ではなく最終的に利益を得る人物を特定することが求められています。

制度の主な内容

  • 受益所有人の定義:企業や組織の最終的な支配権や利益を持つ自然人
  • 情報収集義務:企業は株主・出資者の背後にいる実質的所有者を特定し、その氏名・国籍・持分などを記録する義務を有する。
  • 報告・更新:金融機関や関連当局に対して定期的に報告し、変更があれば速やかに更新する。
  • 監督強化:虚偽報告や未報告には行政処罰が科される可能性。

 

※出展:中国人民银行 国家市场监督管理总局令〔2024〕第3号(受益所有人信息管理办法)

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 大井 高志

    この記事の著者

    大井 高志
    税理士法人山田&パートナーズ  海外事業部 パートナー
    亜瑪達商務諮詢(上海)有限公司 総経理
    税理士・公認不正検査士

    2013年山田&パートナーズ入所。大手金融機関への出向後、2016年より上海へ赴任。中国系会計事務所への出向を経て2019年より現職。中国・香港・台湾における組織再編、進出・撤退支援、M&A関連業務、コーポレートガバナンス、不正調査対応、内部統制支援等のコンサルティング業務に従事。

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