制度の概要
中国人民銀行と国家市場監督管理総局が資金洗浄防止法及び企業登記管理の関連法律・行政法規に基づき〔2024〕第3号「受益所有人情報管理方法」を2024年4月に公布しました。
当該制度は企業や金融機関に対して最終的な受益所有者(Beneficial Owner)である自然人の情報を収集・管理・報告する義務を定めたもので、マネーロンダリング防止、テロ資金対策、金融透明性の強化を目的としており、金融リスク管理と国際コンプライアンスの強化により国際的な金融取引における信頼性の確保を目的としています。
受益所有者の備案届出の締切は25年11月1日になりますが、締切を超過した2025年11月現在、届出が受理されている機関もある模様です。
制度の背景
今日中国では金融監督体制の強化が進められており、すべての金融活動を監督対象に含める方針が打ち出されています。また国際的な金融規制(FATF勧告など)に沿って、企業の「名義上の株主」ではなく最終的に利益を得る人物を特定することが求められています。
制度の主な内容
- 受益所有人の定義:企業や組織の最終的な支配権や利益を持つ自然人
- 情報収集義務:企業は株主・出資者の背後にいる実質的所有者を特定し、その氏名・国籍・持分などを記録する義務を有する。
- 報告・更新:金融機関や関連当局に対して定期的に報告し、変更があれば速やかに更新する。
- 監督強化:虚偽報告や未報告には行政処罰が科される可能性。
※出展:中国人民银行 国家市场监督管理总局令〔2024〕第3号(受益所有人信息管理办法)
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