海外デスクレポート

2026年6月30日

中国におけるサステナビリティと日系企業への影響 (中国)

中国におけるサステナビリティと日系企業への影響 (中国)

2026年春、中国ではサステナビリティ(ESG)情報を会計・財務制度の一部として位置付け、段階的に制度化していく動きが一段と明確になりました。これは従来の任意的なCSR開示とは異なり、将来的な法制化や規制要件への発展を見据えた動きといえます。

2026年4月に中国財政部会計司は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によるSASB基準およびIFRS S2(気候関連開示)の改訂案について、中国国内の関係者を対象とした公式な意見募集を開始しました。これは、中国が国際基準を「そのまま採用」するのではなく、中国の実務慣行や政策環境を反映させた形で、中国の国内基準へ取り込む姿勢を明確にしたものです。

あわせて、2025年末に公布された《企業可持续披露准则第1号――气候(試行)》が、2026年に入り実務運用フェーズに移行しました。本准則は、「ガバナンス」「戦略」「リスクおよび機会管理」「指標と目標」というIFRS S2と共通の枠組みを採用しつつ、中国の脱炭素政策や環境規制、会計・税務制度との整合性を重視した内容となっています。当面は試行段階であり、一律に法的義務が課されるものではありませんが、上場企業や国有企業を中心に、実質的な対応が求められ始めている点には留意が必要です。

日系企業の中国子会社が直ちに同准則への法的対応義務を負うケースは、現時点では限定的と考えられます。しかし一方で、日本本社におけるIFRS/ISSB対応、金融機関からのESG情報要請、さらには中国当局からの説明・確認対応を通じて、中国子会社において生成される環境・エネルギー関連データと、会計・財務データとの整合性が求められる局面は確実に増加していくことが見込まれます。

このため2026年は、将来的な義務化を見据え、環境データやESG指標を「別管理」するのではなく、会計・財務情報と「一体管理」できる社内体制やデータ管理プロセスを整備・構築するための重要な準備期間と位置付けることが実務上重要です。

 

(参考リンク)

 


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  • 大井 高志

    この記事の著者

    大井 高志
    税理士法人山田&パートナーズ  海外事業部 パートナー
    亜瑪達商務諮詢(上海)有限公司 総経理
    税理士・公認不正検査士

    2013年山田&パートナーズ入所。大手金融機関への出向後、2016年より上海へ赴任。中国系会計事務所への出向を経て2019年より現職。中国・香港・台湾における組織再編、進出・撤退支援、M&A関連業務、コーポレートガバナンス、不正調査対応、内部統制支援等のコンサルティング業務に従事。

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