海外デスクレポート

2025年3月27日

シンガポール2025年予算案の公表について(続き) (シンガポール)

シンガポール2025年予算案の公表について(続き) (シンガポール)

1. 概要

2025年2月18日(火)に2025年度の予算案(Budget)が公表されました。

改正や延長、新設された法人税制の概要について記載致します。

 

2. 法人税制

  1. キャピタルゲイン課税の期限の撤廃と対象範囲の拡大・・・被投資企業において資本として計上される優先株式の譲渡益が新たに対象となる。持株比率の判定要件としてグループ単位での判定を認める。
  2. Corporate Income Tax (CIT)リベートの導入・・・法人税(2025年賦課年度)の50%を払い戻し。
  3. 特定の条件を満たす企業に現金を給付する「CITリベート現金助成」の支援策(1社当たり最低:2,000SGD)の導入。
  4. Double Tax Deduction for Internationalisation(DTDi)スキームの延長・・・対象となる市場開拓及び投資費用について200%の税額控除を認める(2030年12月31日まで)。
  5. Mergers and Acquisitions (M&A)スキームの延長・・・適格な買収に係る取引費用について、1課税年度あたり100,000SGDを上限として200%の税額控除を認める(2030年12月31日まで)。
  6. Employee Equity-Based Remuneration(EEBR)スキームの拡大・・・従業員に対し、新株を付与する場合の税額控除を認める。
  7. Cost-sharing agreement(CSA)に基づく支出に対する税額控除の拡大・・・承認されるイノベーション活動においてCSAに基づき企業が行った支出に対し100%の税額控除を認める(2025年2月19日以降適用)。

 

その他、金融、保険、船舶業などの特定の分野に影響のある改正や延長等が行われ、個人税制においては、Personal Income Tax (PIT)リベートとして、所得税(2025年賦課年度)の60%を払い戻し(上限200SGD)の導入等が行われます。

2025年度の予算案では、キャピタルゲイン課税の改正が行われることとなります。今後、組織再編等によるシンガポール法人株式の譲渡を検討される場合には、最新の税制を確認する必要があります。

 

 



  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 入江 貴陽

    この記事の著者

    入江 貴陽
    税理士法人山田&パートナーズ
    シニアマネージャー 税理士

    2013年入社。日本国内にて税務顧問、事業承継及びM&A関連業務を中心に関与し、2020年よりシンガポール駐在。シンガポールへの進出案件、組織再編業務、移住支援業務等に従事。

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