シンガポールでは、GST登録企業に対し、電子インボイスシステムInvoiceNowを通じて請求書データを内国歳入庁(IRAS)へ送信することを段階的に義務化する方針を発表しており、2025年の5月1日から、InvoiceNowの登録が可能となっています。
(1)義務化のスケジュールと対象
GSTの登録要件は年間売上100万SGD(約1億1,200万円)超又は、今後12カ月以内に100万SGD超の見込みとなった企業に課されており、企業の判断により任意でGST登録をすることも可能です。義務化スケジュールは以下の通りです。
【GSTの登録義務のある事業者】
現時点では未定
【任意でGST登録をしている事業者】
- 新規設立事業者:2025年11月1日から義務化
- 全ての任意GST登録事業者:2026年4月1日から義務化
※ 今後、全てのGST登録事業者への義務化が正式に決定される見込みです。
(2)InvoiceNow
InvoiceNowは、IMDA(情報通信メディア開発庁)が2019年に導入した国際標準規格Peppolに準拠した電子インボイスネットワークで、2020年9月~2023年6月にパイロット導入が実施されたのち、この成果を経て、正式導入が決定されました。
導入による主なメリットとして、業務プロセスの自動化、コスト削減(人的ミス削減・紙請求書廃止等)、資金繰り管理の効率化、不正GST請求の抑止、税務データ送信時のコンプライアンス強化等が想定されており、IRAS(税務当局)へ直接データが送信されることから、税務対応・GST還付の迅速化が期待されています。
(3)GST登録期限の延長
今年の7月より、年間課税売上高(1月~12月における売上高合計)が100万SGDを超える見込みの企業に対するGST登録の猶予期間が、1カ月から2カ月へと延長されます。
従来は、見込みが判明した月から1カ月以内にGST登録が義務付けられていましたが、今回の緩和で登録準備期間が拡大されることとなります。
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