1. 課税対象範囲の拡大の公表
マレーシア財務省は、売上・サービス税(SST)の課税対象範囲を拡大し、2025年7月1日から施行、9月から徴収を開始すると発表しました。
本改正は2024年10月の2025年度国家予算案に基づくものであり、拡大にあたり一定の猶予期間や登録期間が設けられています。
2. 概要
今回の見直しでは、サービス税において、レンタル・リース、建設、金融、民間医療、教育、美容の6分野に新たに6~8%の税率が適用されます。
売上税においては、タラバガニやサーモンなど一部の高級輸入食材や産業用機械などに対する税率が0%から5%へ引き上げられます。
なお、生活必需品(米、野菜、肉、医薬品、農業資材等)は引き続き課税対象外となり、サービス税では年間の売上高による適用基準が設けられ、中小企業、個人住宅向け賃貸などには免除措置も講じられています。
3. 今後の動向
今回のSSTの課税対象範囲の拡大は、コロナ禍後の財政再建や公共サービス拡充のため、税収増加を見込んだものですが、産業界や中小企業団体からは、負担増や制度対応への懸念等、競争力低下への懸念が示されており、税務コンプライアンスや経済影響を考慮した柔軟な運用やさらなる見直し、導入延期を求める意見も出ています。
政府は制度移行などへの配慮から、2025年末まで罰則適用を猶予する方針ですが、今後も業界団体との協議や国民・企業への影響評価を通じて運用の見直しや補完措置が行われる可能性もあります。
今回の改正により影響を受ける可能性のある業種については、SST登録事業者の要件を確認し対応準備を進めつつ、最新の情報をキャッチアップすることを推奨致します。
- 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
- 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
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