再生可能エネルギー(以下、再エネ)設備が各地で乱立し、自然環境や地域社会との調和が課題となるなか、青森県は令和7年10月7日から「再生可能エネルギー共生税」(通称:再エネ新税)を導入しました。全国初の宮城県(令和6年4月1日施行)に次ぐ2例目の取り組みです。
1. 再エネ新税の狙い
税収を増やすことが主目的ではなく、地域の自然環境や景観、生活環境と再エネ発電事業との共生を促進し、望ましい導入を後押しすることです。
2. 再エネ新税の概要と納税手続き
再エネ新税の概要と納税手続きは、下記のとおりです。
(1)対象
賦課期日(1月1日)時点における一定の再エネ発電施設の総発電出力
(2)税額

※ 再エネの種類や所在する区域に応じて税額が異なる
(3)納税義務者
対象施設の所有者
(4)申告・納税スケジュール
- 申告:毎年1月31日までに「再生可能エネルギー共生税申告書」を管轄の県税事務所へ提出―変更等がなければ提出不要
- 納税:年4回(4月,7月,12月,翌年2月)に分けて納税
3. 再エネ導入における主な課題
再エネ導入においては、下記のような課題があげられます。
(1)地域との共生
- 急傾斜地や里山へのメガソーラー設置は安全面の懸念を拡大し、住民説明不足によるトラブルも増加中です。
- 行き過ぎたメガソーラーは、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と相反し、自然破壊につながりかねません。
(2)使用済太陽光パネルの管理
- 現状、放置されたパネルが各地で散見され、2030年ごろに廃棄量がピークを迎える見込みで早急な対策が求められます。
- 含有物質情報など必要データの一元管理が不十分なため、適正な廃棄・リサイクルを保証する制度整備が急務です。
再エネは、脱炭素社会を実現するうえで重要な柱と位置付けられています。その一方で、導入拡大に伴い、安全面、防災面、景観などについて地域の懸念が広がっています。
全国300超の地方自治体が再エネを規制する条例を設けていますが、地方自治体だけで適切に運用・監視するには限界があります。
政府も再エネの乱立を問題視しており、再エネ特措法の枠組み見直しや、省庁横断での指針策定を進め、地方自治体と連携した全国的な規律強化の仕組みづくりを検討中です。