海外デスクレポート

2024年4月16日

会社法の改定 (中国)

会社法の改定 (中国)

2023年1229日の全国人民代表大会常務委員会で会社法の改定が承認され、202471日から施行されます。今回の改定は資本金制度、会社組織等に関する大きな変更が含まれています。

ここでは、資本金制度の改定が与える外資企業への影響を説明します。

 

2018年会社法 2023年会社法 改定ポイント

第二十六条 有限責任会社の登記資本金とは、会社登記機関で登記され、株主が払い込みを確定した出資額を指す。

法律・行政法規及び国務院が登記資本金の払込、登記最低金額に別途規定がある場合には、その規定に従う。

第四十七条 有限責任会社の登記資本金とは、会社登記機関で登記され、株主が払い込みを確定した出資額を指す。その資本金は、会社の定款に基づいて、会社の設立日から5年以内に払い込まなければならない。

法律・行政法規及び国務院が登記資本金の払込、登記最低金額、払込期限に別途規定がある場合には、その規定に従う。

登記資本金の払込期限を5年と設定する。これまでは特に制限がなく、資本金の払込期限は経営期限に設定しているケースが多い。

今回の改正は、これから設立する会社だけではなく、すでに設立された会社も対象になる。
第二十七条 株主は貨幣以外に、現物、知的財産、土地使用権等価値が算定できる、かつ、譲渡できる非貨幣資産を出資することできる。ただし、法により出資できないものを除く。 第四十八条 株主は貨幣以外に、現物、知的財産、土地使用権、持分、債権等価値が算定できる、かつ、譲渡できる非貨幣資産を出資することできる。ただし、法により出資できないものを除く。 現物出資対象資産に持分と債権が追加された。

第一百六十八条 積立金は会社の欠損補填、生産管理拡大、資本金増加に使用することができる。

ただし、資本積立金は欠損補填に使用することはできない。

第二百十四条 積立金は会社の欠損補填、生産管理拡大、資本金増加に使用することができる。

欠損を補填する場合に、まず任意積立金と法定積立金を優先して使用し、それでも補填しきれない場合は、規定により資本積立金を使用する。

資本積立金による欠損補填が可能となった。任意積立金・法定積立金資本積立金の順番で欠損を補填することができる。

 

第二百二十五条 第二百十四条により欠損を補填しても欠損が残る場合は、登記資本金を減少することにより欠損を補填することができる。登記資本金により欠損を補填する場合は、株主への分配、株主の出資義務への免除ができない。

登記資本金により欠損を補填した後に、任意積立金・法定準備金が登記資本金の50%に達するまで配当できない。

登記資本金の減少により欠損金を補填することができる。欠損補填による配当制限を設ける。

 

第二百六十六条 本法は202471日より実行する。

本法施行前にすでに設立された会社では、出資期限が本法に規定された期限を超過する場合に、法律・行政法規・国務院の例外的規定がある場合を除き、順次法定期限内に調整しなければならない。

出資期限、出資額に明らかに異常がある会社に対して、会社登記機関は法に基づき調整させることができる。具体的な施行方法は国務院の規定に従う。

5年経過しても登記資本金を全額払い込まれていない会社に対して、経過措置を設けた。

 

※1 上記条文はすべて抜粋後の条文になります。
※2 2023年会社法:中华人民共和国公司法_中国人大网 (npc.gov.cn)
※3 2018年会社法:中华人民共和国公司法_中国人大网 (npc.gov.cn)

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 大井 高志

    この記事の著者

    大井 高志
    税理士法人山田&パートナーズ パートナー
    亜瑪達商務諮詢(上海)有限公司 総経理
    税理士 公認不正検査士

    2013年山田&パートナーズ入所。大手金融機関への出向後、2016年より上海へ赴任。中国系会計事務所への出向を経て2019年より現職。中国・香港・台湾における組織再編、進出・撤退支援、M&A関連業務、移転価格税制コンサルティング、コーポレートガバナンス、不正調査対応等のコンサルティング業務に従事。

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