2025年7月23日、国務院新聞弁公室は記者会見を開き、海南自由貿易港が2025年12月18日に正式に封関されることを発表しました。「封関」とは、海南島全域を一つの税関監督特殊区域とし、中国国外と海南島との間に「一線税関」、海南島と中国本土との間に「二線税関」を設け、これらの地域における以下の政策により、海南島を通じた国際的な門戸開放政策を推進します。
一線税関では、貨物の輸入に関する一連の開放・利便化措置である「一線放開」が実施されます。
二線税関では、「一線放開」による措置を享受した貨物が、本土移出入時に関税等を適用する「二線管住」が実施されます(一部加工品は免税対象)。
また海南島内での貨物・資金流通は原則自由(免税品購入を含む)とする「島内自由」が実施されます。
主な優遇措置(海南vsその他地域)
項目 |
海南自由港 |
その他地域 |
輸入関税の免税措置 |
・ 海南島に設立した企業・事業単位等の輸入品は輸入関税・増値税・消費税を免除(ネガティブリストを除く) ・ 当政策前と比較すると、対象品目数は1,900品目から約6,600品目に拡大。輸入品全体に占める割合は21%から74%に増加。 |
平均関税率7.5% |
加工後の 国内販売 |
輸入原材料を用い、加工増値率が30%以上の製品は、中国本土への移出時に関税免除(増値税・消費税は課税) |
引取時に納税 保税手冊消込 |
企業所得税 |
・2025年時点では奨励産業企業を対象に税率15%(実質的運営要件必須) ・2035年までに税率15%を全企業に適用拡大予定(ネガティブリストを除く) |
標準税率25% |
個人所得税 |
以下の要件を満たす個人の実効税率上限15% - 海南で年間183日以上居住 - 当局認定の高度人材または年収30万元以上 |
累進課税 (最高税率45%) |
外貨管理 |
EF口座(多機能自由貿易口座)による送金手続きの簡素化・迅速化 オフショア為替レート適用、為替差益の最大化 複数通貨を1つの口座で管理を実現 QFLP基金の設立や外貨登記の手続きを簡素化 海外からの資本が海南で株式投資しやすくする |
年間5万元米ドル制限 |
また、2025年7月30日に海南省人民代表大会は《海南自由貿易港外商投資条例》を公布し、以下の外資優遇策を発表しています。
- 外商投資企業が海南自由港内で再投資する場合の外貨登記免除
- 出資、利益、知的財産権使用料、補償金、清算所得などは人民元・外貨いずれも制限なく送金可能
- 外資企業の外国人従業員の給与や正当な収入は自由に送金でき、給与換金の利便化も段階的に導入予定
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