中国債券市場の「免税」政策延長の概要
2026年初頭に中国財政部と税務総局が発表した一連の税制優遇措置(財政部・税務総局2026年第5号)について国際金融市場で静かに注目を集めています。特に、外国機関投資家が中国国内債券市場で得る利息所得に対する免税措置が延長されたことは、「制度型開放」を掲げる中国の姿勢を裏付けるものとして市場への明確なシグナルとして受け止められています。
背景:2026年第5号公告の発表
2026年1月15日、中国財政部と税務総局は共同で「公告2026年第5号」を公表し、外国機関が中国国内債券市場で得る利息収入について、2026年1月1日から2027年12月31日までの間、企業所得税と増値税(付加価値税)を暫定的に免税すると明確にしました。この措置は、従来2023年末までとされていた優遇政策の延長にあたります。
今回の政策のポイント:企業所得税+付加価値税の「二重免税」
今回の政策で特徴的なのが、企業所得税(源泉所得税)と付加価値税の双方が免除される「二重免税」です。
通常、外国機関投資家が国内債券で得る利息には、
が課されます。しかし、この二つが同時に免除されることで、実質利回りが大きく改善します。
例えば年利3%の国債の場合、課税により実質利回りが約2.5%まで低下しますが、免税であればそのまま3%が確保されます。低金利が続く国際環境の中で、これは人民元建て債券の投資魅力を高める明確なインセンティブとなります。
狙い:市場安定と資金流入の確保
中国当局は、この政策を「市場の安定性を高めるための定心丸※(安心材料)」と位置づけています。 ※中国の伝統的な精神安定作用のある漢方薬
世界的に金融政策が不確実性を増す中で、中国は逆に市場開放を進め、海外資金の呼び込みを図っています。対象が“中国国内に常設機関を持たない純粋な外国機関投資家”に限定されている点も、オフショア資金の誘致を主眼とした戦略であることを示しています。
実務面では、外国投資家は中国国内の決済銀行(例:中国銀行、工商銀行など)を通じて債券取引口座を開設し、税務申告で免税を適用する仕組みです。事前の届出は不要だが、証憑の保存は求められます。
日本からの視点
上海を中心とする中国の金融センターでは外資系機関の参入が加速しつつあり、今回の税制延長はこうした潮流を後押しするものです。日本の機関投資家にとっては、人民元資産へのポートフォリオ分散や、中国本土での資金調達手段の拡充を検討する好機ともいえます。
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