海外デスクレポート

2025年9月11日

マレーシアにおける電子インボイス(E-invoice)の概要と移行スケジュール (マレーシア)

マレーシアにおける電子インボイス(E-invoice)の概要と移行スケジュール (マレーシア)

1. 概要

税務コンプライアンスの向上と行政効率化を目的として、マレーシアにおいて電子インボイス(E-invoice)の導入が進められています。

この制度は、従来の紙または電子文書による取引記録をデジタル化し、リアルタイムでの税務報告を可能にする制度です。

本レポートでは、マレーシアにおける電子インボイス(E-invoice)制度の概要、納税者の対応方法、移行スケジュールについて記載します。

 

2. 電子インボイスE-invoice)制度の概要

マレーシアにおける電子インボイス(E-invoice)は、サプライヤーとバイヤー間の取引を記録するものであり、具体的には、請求書、クレジットノート、デビットノートといった従来の紙等の文書がデジタルデータに置き換えられ、サプライヤーおよびバイヤーの詳細、品目説明、数量、税抜価格、税金、合計金額等、取引に必要な全ての重要情報が含まれます。

電子インボイス(E-invoice)の導入により、日常的な業務運営における取引データがデジタル形式で一元的に記録、管理されることになります。

 

3. 納税者の対応

納税者は、マレーシア内国歳入庁(IRBM)に電子インボイスを送信するための方法として、下記2つのいずれかの方法により対応する必要があります。

① MyInvois Portal

マレーシア内国歳入庁(IRBM)から提供されているポータルサイトを利用し、各インボイスについて認証を得る方法。

② Application Programming Interface (API)

納税者における既存のインボイス発行システムとMyInvoisシステム間でデータの伝送を可能にするシステムを用いて、自動的に認証を得る方法。

 

4. 移行スケジュール

円滑な移行を確保するため、企業の年間売上高または収益を基準とし、段階的な移行期限が設定されています。

対象者 適用開始日
年間売上高または収益がRM100Mを超える納税者 2024年81
年間売上高または収益がRM25M超~RM100M以下の納税者 2025年11
年間売上高または収益がRM5M超~RM25M以下の納税者 2025年71
年間売上高または収益がRM1M超~RM5M以下の納税者 2026年11
年間売上高または収益がRM1M以下の納税者 2026年71

上記のスケジュールを参考に、ご状況に合わせた適切な対応方法を検討し、計画的な移行準備を進める必要があります。

 



  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 入江 貴陽

    この記事の著者

    入江 貴陽
    税理士法人山田&パートナーズ
    シニアマネージャー 税理士

    2013年入社。日本国内にて税務顧問、事業承継及びM&A関連業務を中心に関与し、2020年よりシンガポール駐在。シンガポールへの進出案件、組織再編業務、移住支援業務等に従事。

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