海外デスクレポート

2023年8月4日

ベトナム個人所得税の居住者判定について (ベトナム)

ベトナム個人所得税の居住者判定について (ベトナム)

1. ベトナム所得税法上の居住者判定

ベトナム所得税法上の居住者は以下のいずれかに該当する者と規定されています。

① 暦年で又は入国日から12カ月の期間において183日以上、ベトナム国内に滞在する者
② ベトナム屋内に定常的な居所を有する者
183日以上の賃貸借契約等により、居住する一定の居所を有する者

 

なお、②の注意点としては、一時滞在許可証(Temporary Residence Card:以下、TRCという)を有している場合TRCが住所証明を添付し発行されていることから、形式的に居住者と判断される可能性があるため、取得の際には留意が必要です。③の注意点としては賃貸借契約を有すること等により、形式的に居住者とみなされる点です。居所は所有、貸家のみならず、ホテルや事務所も該当し、個人名義や法人名義なども問わないことになっています。

 

ただし、これら形式的な判定においては、他の国の税務署等により当該他国の居住者である居住証明書が発行されていれば、非居住者としての取り扱いが可能となります。また、ベトナム所得税法及び日本所得税法の双方で居住者と判定される場合は、日越租税条約による双方居住者の判定が必要になりますので、悩ましい場合は日本・ベトナム双方に理解のある税理士等にご相談ください。


2. 日数基準(上記①)の計算方法

アセット 1@2x

ケースAでは、X1年度は183日未満ですが、入国してから12カ月の期間において183日以上、居住することが見込まれるため、X2年度とともにベトナム居住者として取り扱うことになります。なお、X3年度は、183日未満での帰国となるため、ベトナム非居住者として取り扱うことになります。

 

ケースBでは、暦年内、入国日から12カ月の期間内のいずれも183日未満となることから、X1年度もX2年度もベトナム非居住者となります。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 川越 太介

    この記事の著者

    川越 太介
    税理士法人山田&パートナーズ
    海外事業部 部長 税理士

    2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

海外デスクレポートに戻る
すべて見る

CONTACT US

弊社へのご質問、ご依頼、ご相談など
各種お問い合わせはこちらにご連絡ください。

お問い合わせはこちら