海外デスクレポート

2024年1月26日

ベトナム労働契約 (ベトナム)

ベトナム労働契約 (ベトナム)
ベトナム労働法によりベトナム人労働者の権利が守られているため、現地法令に従った労務管理がとても大切になります。今回はベトナム労働法における時間外労働の規定について触れさせていただきます。

ベトナム労働法において、時間外労働も含めて112時間までしか労働させることができず、また、1カ月や年間の時間外労働時間の上限も定められています。

時間外労働を実施する場合には、ベトナム労働法において賃金の割増規定が設けられており、時間外労働の割増賃金について以下の通りです。

 

【ベトナム労働法の規定】

  1. 時間外労働をした労働者は、賃金の単価又は現在の業務により実際に支払われた賃金に従って、以下のように計算された賃金の支払いを受ける
    a) 通常の日の場合:150%
    b) 週休日の場合:200%
    c) 祝日、旧正月、有給休暇の場合:300%
  2. 深夜に労働する労働者は、単価又は通常の勤務日の業務に従って実際に支払われた賃金の30%の割増賃金が支払われる。
  3. 深夜に時間外労働をする労働者は、上記1及び2の規定に従った賃金が支払われることに加えて、通常の勤務日若しくは週休日、祝日、旧正月の昼間の賃金又は単価に従って計算される20%の割増賃金が支払われる。

 

また「深夜」とは労働法で22:006:00と定められています。

 

例えば、9:0018:00が定時の会社で、ある労働者が9:0019:00の労働をした場合は1.a)により18:0019:00の労働分に対して150%の賃金を支払わなければならないことになります。

週休を土日と定めていて、土曜日に9:0012:00まで勤務した場合には、9:0012:003時間に対して200%の賃金を支払わなければならないという規定となっています。同様の例で祝日に勤務した場合は、その3時間について300%の割増賃金を支払わなければならないことになります。

 

次に深夜残業が発生した場合の考え方は以下となります。
上述の通り、9:00~18:00が定時の会社で、9:00~18:00と22:00~0:00勤務した場合には22:00~0:00の賃金は150%+30%(2.)+20%(3.)=200%となります。

 

9:00~19:00と22:00~0:00のように通常の時間外労働があった場合には、22:00~0:00の割増賃金は、150%+30%+30%(150%(通常時間外賃金)×20%)=210%になります。

 

このように時間外労働に関しては、通常の賃金よりも高い割増率となりますので、労務管理を適切に行い、効率的な運営が重要となります。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 川越 太介

    この記事の著者

    川越 太介
    税理士法人山田&パートナーズ
    海外事業部 部長 税理士

    2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

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