海外デスクレポート

2024年4月15日

ベトナムの引当金制度 (ベトナム)

ベトナムの引当金制度 (ベトナム)

ベトナムの法人税では幾つかの引当金に関して損金算入できることが規定されています。会計上で費用に組み込む必要があり、また日系企業のような外資企業は会計監査を決算時に受ける必要がありますので、その見積もりの妥当性やエビデンスの保管などが重要になります。

損金算入できる引当金について幾つか紹介いたします。

 

① 棚卸資産評価引当金
算定は低価法により行われるため、棚卸資産の計上額が正味実現可能価額より高い場合には、その差額について引当金を計上して、会計上で費用に繰り入れることで損金にすることが可能となります。

 

② 貸倒引当金
回収期限を既に経過している債権については、会計上で費用に繰り入れることで以下の限度額まで損金に算入することが出来るとされています。

 

経過期間

限度額

6カ月以上1年未満

30%

1年以上2年未満

50%

2年以上3年未満

70%

3年以上

100%

 

一方で期限が到来していなくても、債務者が破産や任意の清算、もしくは管轄機関より営業停止や支払い不能による証明書などが発行されている場合には、債権金額と回収見込額との差額を会計上の貸倒損失に計上することで、損金に算入することが出来るとされています。エビデンスとして、あらゆる督促手段を講じても回収できないことを記録していくことが大切となります。

 

③ 投資評価引当金
ベトナム国内に上場している有価証券や未上場の出資持分などが対象となります。上場株式であれば、取引所における実勢価額が帳簿価額よりも下回った場合に引当金として計上して、損金算入することが可能となります。未上場などの出資持分の場合には、持分割合に応じた純資産価額が帳簿価額より下回った場合に引当金として計上して、損金算入することが可能となります。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 前田 章吾

    この記事の著者

    前田 章吾
    税理士法人山田&パートナーズ 海外事業部 パートナー
    YAMADA & PARTNERS VIETNAM CO., LTD.
    日本国公認会計士

    2009年9月税理士法人山田&パートナーズに入所し、同シンガポール支店を経て、2013年9月よりベトナム駐在。ベトナムに関する会計税務をはじめ、不正調査・内部統制構築支援、進出・撤退やクロスボーダーM&Aなど幅広い業務を対応している。
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