海外デスクレポート

2025年7月23日

納税滞納者による出国停止措置 (ベトナム)

納税滞納者による出国停止措置 (ベトナム)

ベトナム政府は2025228日に出国一時停止の対象となる税滞納額と滞納期間を定めた政令第49/2025/ND-CPを公布し、即日施行しました。

 

昨今ベトナムでは、未納税額が数十万~数百万ドン程度の少額であるにもかかわらず、外国人が空港で足止めされたケースが散見され、社会的な問題となっていました。本政令はこのような問題に対処すべく、出国一時停止となる基準を明確にすることを趣旨として定められたと考えられます。

 

本政令は以下のように出国一時停止の対象者を4類型で定めています。

 

No.

滞納対象者

税滞納額

滞納期間

個人事業主
事業の世帯主

5000万VND
(約30万)

120日以上

企業の法的代表者

5億VND
(約300万円)

120日以上

登記上の住所で
営業していない

個人事業主
or
事業の世帯主
or
企業の法的代表者

税務当局から出国一時停止措置の予告通知を受けた日から30日を経過しても納税していない

ベトナム国外へ渡航及び移住を予定する場合

ベトナム出国時に
税金の未納がある

 

本政令の留意すべき点としては、個人事業主や法的代表者には出国一時停止の対象となる税滞納額と滞納期間が明確に記載されていますが、ベトナムから出国を予定する者は「ベトナム出国時に税金の未納がある」とだけ記載されていることから、具体的な税滞納額と滞納期間が明記されていません。

 

上記表に該当する場合は事前に税務署から対象者へ「出国禁止予告」が電子的に通知されることになっています(所在不明の場合はウェブサイトに公表されてしまう)。滞納額を納税した場合は税務署が即時に解除通知を発行し、出入国管理当局は解除通知を受領後24時間以内に出国一時停止を解除することになっております。

 

以上より、税金未納者の出国一時停止措置について以前より明確になったものの不明瞭な部分も残っているため、出国を予定している日本人駐在員は引き続き留意が必要です。

 

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 川越 太介

    この記事の著者

    川越 太介
    税理士法人山田&パートナーズ
    海外事業部 パートナー 税理士

    2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

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