海外デスクレポート

2025年7月23日

ベトナムEPE制度 (ベトナム)

ベトナムEPE制度 (ベトナム)

ベトナムで製造業が輸出加工企業(以下、「EPE」と言います)として進出する場合には、様々な優遇制度を受けることが出来ます。EPEとはその名称の通り、輸出目的の製品をベトナム国内で生産し、その製品は原則すべて輸出するために設けられた企業体で、輸出入に関する関税が非課税、付加価値税が対象外などの恩恵を受けることが出来ます。ただし、その条件面や進出後の厳しい管理体制など、コストや時間を多く要するケースもあります。制度の概要と注意点について解説します。

 

EPEの要件】

  1. 進出予定地と外側領域との間にフェンス等を設置し、商品等の出し入れを行うゲートを設け、商品等の出し入れはそのゲートのみであること。
  2. 休日を含む24時間、商品等の出し入れが行われるゲートや、建物の入り口、商品等の保管場所を監視するためのカメラシステムを設置する。またそのカメラシステムは企業を管轄する税関局とオンラインで接続され、少なくとも12か月間データ保管されること。
  3. 免税対象となる輸入品に関して、ソフトウェアなどを導入して在庫管理を適切に行うこと。

 

さらに、上記要件を満たしているかどうか税関局により実地検査が行われ、確認書が発行されてからEPEとして事業を開始できることになっています。つまり、投資登録証明書IRCや企業登録証明書ERCが発行されたのちに、上記の工事が実施されることになるため、一般的な工場の設立よりも時間を要し、生産計画については余裕を持ったスケジュールが必要となります。

 

その他、注意点としては、上述の通り、ベトナムにて製造した製品は原則すべて輸出をすることが前提とされていますが、税関局で手続きを行うことで、一部はベトナム国内企業向けに販売することは可能となっております。しかし、一部のみが認められるだけとなりますので、製造した製品のほとんどが親会社へ納品される場合には、親会社の販売計画に依存する要素が多いため、EPEで進出することに対してメリットが十分に取れるかどうか、事前に検証することが必要です。

 

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 川越 太介

    この記事の著者

    川越 太介
    税理士法人山田&パートナーズ
    海外事業部 パートナー 税理士

    2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

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