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2026年8月26日

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遺産分割で変わる「地積規模の大きな宅地」の評価

遺産分割で変わる「地積規模の大きな宅地」の評価

1. はじめに

相続財産に地積規模の大きな宅地の適用対象となる土地が含まれている場合、遺産分割の方法によって相続税評価額が異なることがあります。

例えば、土地を共有で取得する場合と分筆して取得する場合とでは、地積規模の大きな宅地の適用の有無が変わり、その結果として評価額に大きな差が生じることがあります。

一方で、遺産分割の方法は、相続税評価額だけでなく、相続後の管理や活用、将来の処分のしやすさにも影響を及ぼします。そのため、相続税評価額のみを基準に判断するのではなく、さまざまな観点から総合的に検討することが重要です。

本稿では、地積規模の大きな宅地の評価の概要を確認したうえで、遺産分割の方法が相続税評価額に与える影響について解説します。

2. 地積規模の大きな宅地の評価の概要

地積規模の大きな宅地の評価とは、一定の要件を満たす大規模な宅地について、その規模や利用上の制約等を考慮し、評価額を補正する制度です。適用を受けることができれば、相続税評価額が20%以上減額される場合もあります。

例えば、三大都市圏に所在する普通住宅地区では、地積が500㎡以上の宅地が適用対象となる可能性があります。大規模な宅地は、一般的な住宅地に比べて利用方法が制約される場合があること等から、その特性を評価に反映するために規模格差補正率が設けられています。

地積規模の大きな宅地の適用の有無は、相続税評価額に大きな影響を与えます。

3. 遺産分割の方法(共有・分筆)による地積規模の大きな宅地の適用への影響

地積規模の大きな宅地の地積要件は、利用の単位となっている1画地の宅地(評価単位)ごとに判定します。

例えば、各相続人が一筆の土地を分筆して単独で取得した場合には、それぞれが別の評価単位となるため、各評価単位ごとに地積要件を判定することになります。

一方、一筆の土地を共有で取得する場合には、共有持分ごとの地積ではなく、共有宅地全体の地積により判定されます。そのため、同じ土地を同じ割合で相続する場合であっても、遺産分割の方法が共有であるか分筆であるかによって、地積規模の大きな宅地の適用の可否が異なることがあります。

4. 事例による比較

前提条件
三大都市圏内の普通住宅地区
地積800㎡
路線価15万円/㎡
相続人は長男・長女の2

ケース① 土地を分筆して取得する場合

800㎡の土地を長男400㎡、長女400㎡に分筆して取得(それぞれが単独で所有)するケースを想定します。長男が取得する400㎡、長女が取得する400㎡はいずれも500㎡未満となるため、地積規模の大きな宅地の評価の適用を受けることができません。その結果、土地全体の評価額は12,000万円となります。

ケース② 土地を共有で取得する場合

長男と長女が800㎡の土地を2分の1ずつ共有で取得するケースを想定します。共有宅地は土地全体の800㎡で判定するため、地積規模の大きな宅地の評価の適用対象となります。この場合、規模格差補正率の0.78を適用した結果、土地全体の評価額は9,360万円となります。

比較結果

本事例では、遺産分割の方法により、評価額に2,640万円の差が生じます。

5. 実務上の留意点

もっとも、共有で取得することが常に有利とは限りません。共有不動産は、売却や建替えなどの際に共有者間の協議が必要となり、将来的に権利関係が複雑化する可能性があります。

一方で、大規模な宅地については、将来的には相続人ごとに利用や所有を分ける予定であっても、相続時点では共有により取得することで地積規模の大きな宅地の適用を受け、その後に共有物の分割等により分筆を検討するという考え方もあります。

もちろん、個別事情によって適切な承継方法は異なります。遺産分割を検討する際には、相続時の税負担だけでなく、その後の土地利用や承継方針まで見据えて検討することが必要になります。

 

執筆:吉岡 幸紀 yoshiokay@yamada-partners.jp

 

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