税のトピックス

2026年8月24日

  • 相続税・贈与税

非上場株式の評価方法、見直しへ

非上場株式の評価方法、見直しへ

国税庁は8月20日、「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の第5回会合を開催しました。

この会議では、証券取引所に上場していない会社の株式、いわゆる「非上場株式」の評価方法について、見直しの方向性が検討されています。

非上場株式は、相続税や贈与税を計算する際に評価が必要です。今回の見直しが実現すれば、1964年のルール制定以来、初めての大幅な見直しとなる可能性があります。

現在の主な評価方法と見直しの方向性

現在、非上場株式の評価方法は、次のような考え方で分類されています。

(出典:取引相場のない株式の評価に関する有識者会議 第1回資料)

① 株主の立場によって評価方法を分ける

会社の経営に関与する株主と、配当を受け取ることを主な目的とする少数株主では、株式を保有する目的が異なります。

そのため、少数株主などが取得した株式については、通常、「配当還元方式」という方法で評価します。これは、将来受け取る配当金を基準に株価を計算する方法です。

今回の会議では、次の点について見直しが検討されています。

  • 配当還元方式を適用する株主の範囲と判定基準
  • 株価の計算式

② 会社の規模に応じて評価方法を分ける → 一本化へ

現在は、会社の規模に応じて、類似業種比準方式や純資産価額方式、その併用方式など、異なる評価方法が設けられています。

今回の見直しでは、会社の規模による区分をなくし、評価方法を一本化する案が検討されています。

具体的には、会社の資産だけでなく、将来どれだけ利益を生み出す力があるかも評価する「インカムアプローチ」を取り入れ、その一つである「残余利益方式」を採用することが検討されています。

③ 特定の会社については、評価方法を分ける

不動産や有価証券などの資産を多く保有する会社、いわゆる資産管理会社などについては、現在、原則として純資産価額方式が使われています。

純資産価額方式とは、会社の資産から負債を差し引いた正味の財産を基準に、株式を評価する方法です。

この点については、今後も純資産価額方式を基本としつつ、次の点が見直しの対象となる見込みです。

  • 適用する会社の範囲、判定基準

  • 退職給付引当金など、負債として差し引く項目の範囲

残余利益方式とは?

今回、採用が検討されている「残余利益方式」は、会社が持っている財産と、将来利益を生み出す力の両方を反映して株式を評価する方法です。

(出典:取引相場のない株式の評価に関する有識者会議 第5回資料)

会社の正味の財産は、貸借対照表に記載された資産と負債を基に計算します。

一方、将来生み出す利益については、会社の収益力を一定の期待収益率と比較します。

  • 収益率が期待収益率を上回る会社
    → 収益力がプラスに評価され、株式の評価額は正味の財産を上回る可能性があります。

  • 収益率が期待収益率を下回る会社
    → 収益力がマイナスに評価され、株式の評価額は正味の財産を下回る可能性があります。

  • 赤字の会社
    → 収益力がマイナスとなり、評価額が下がる方向に働く可能性があります。

つまり、会社の財産だけでなく、「その会社がどれだけ利益を生み出せるか」も株価に反映する仕組みです。

(出典:取引相場のない株式の評価に関する有識者会議 第5回資料)

 

必要な資料が変わる可能性も

この方向で見直しが行われた場合、株式の評価には、主に次のような資料を使うことになる可能性があります。

  1. 直前期末の貸借対照表
    ― 会社の正味の財産を確認するため

  2. 過去数年分の損益計算書など
    ― 会社の利益や収益力を確認するため

(出典:取引相場のない株式の評価に関する有識者会議 第5回資料)

ただし、将来の超過利益、つまり期待収益率を上回る利益を何年分考慮するのか、また、その現在価値をどのように計算するのかについては、今後さらに具体化されるものと考えられます。

 

今後の税負担に影響する可能性

非上場株式を保有する会社経営者や、その株式を相続・贈与する予定がある方にとって、評価方法の見直しは、相続税や贈与税の負担に影響する可能性があります。

もっとも、現時点では見直しの方向性が示された段階であり、具体的な計算方法や適用時期は決まっていません。

今後、制度の詳細が公表された際には、自社株の評価額や相続・贈与税への影響について、早めに確認することが大切です。

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