税のトピックス

2025年9月10日

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措置法40条の特例を受けた資産のその後の課税関係

措置法40条の特例を受けた資産のその後の課税関係

1. はじめに

近年、社会貢献や地域社会の発展を支援したいという個人の意識が高まっており、個人が公益法人に財産を寄附するケースが増えています。

個人が公益法人に土地、建物、株式等を寄附する場合、原則としてその寄附行為は「譲渡」とみなされ、寄附財産の含み益に対して個人に所得税が課税されます。

しかし、その寄附について一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認(以下「非課税承認」といいます。)を受けたときは、この所得税を非課税とする制度が設けられています(措置法40条後段)。

この所得税を非課税とする制度は、寄附を受けた公益法人において、その寄附財産が適切に管理され、公益目的事業の用に直接供されること等の一定の要件を満たし続けることが求められ、もし公益法人がその一定の要件を満たさなくなった場合には、非課税承認が取消され、所得税の課税が生じることになるため注意が必要です。

 

2. 非課税承認が取り消された場合の課税関係

国税庁長官は、寄附を受けた公益法人において、寄附財産が公益目的事業の用に供されなくなった等の一定の事実が生じた場合には、非課税承認を取り消すことができます。

非課税承認が取り消された場合には、その取り消されることとなった理由に応じ、寄附をした個人又は寄附を受けた公益法人に対して、原則として、その取り消された日の属する年分の譲渡所得等として所得税が課税されます。

 

個人側に課税される場合 公益法人側に課税される場合

① 寄附があった日から2年以内に、寄附財産が公益法人の公益目的事業の用に直接供されなかった場合

② 寄附財産が公益法人の公益目的事業の用に直接供される前に、寄附者個人の所得税又は相続税もしくは贈与税の負担を不当に減少させる結果となる一定の事由が生じた場合 等

① 寄附財産が、寄附があった日から2年経過後に、公益法人の公益目的事業の用に直接供されなくなった場合

② 寄附財産が公益法人の公益目的事業の用に直接供された後に、寄附者個人の所得税又は相続税もしくは贈与税の負担を不当に減少させる結果となる一定の事由が生じた場合 等

 

3. 非課税承認の継続の特例

非課税承認の要件を満たさなくなった場合でも、買替資産を取得する場合等、一定の要件を満たしたときには、非課税承認が継続されます。

なお、非課税承認を継続する場合には、公益法人が一定の事項を記載した届出書及び必要な添付書類を定められた期限までに、所轄の税務署に提出する必要がありますので注意が必要です。

 

4. おわりに

措置法40条の特例は、公益法人への寄附を促進し、社会貢献活動を支援するための重要な制度です。しかし、非課税承認を受けた寄附財産はその後も適切に管理され、公益目的事業に使用され続けることが求められるため、寄附者および公益法人はその要件を十分に理解し、遵守する必要があります。

また、非課税承認が取り消された場合には、寄附者や公益法人に対して所得税が課税されることとなり、予期せぬ税負担が発生する可能性があります。

寄附を行う際には、専門的な知識が必要とされますので、是非、弊社担当者までお気軽にお問合せください。

 

 

執筆:山下 壽一 yamashitat@yamada-partners.jp

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