総務省は、「ふるさと納税に関する現況調査結果の概要」を取りまとめ、ホームページに公表しました。この調査は、市区町村を対象に、令和6年1月から12月までの間に行われたふるさと納税について、令和7年6月1日時点の控除の適用状況をまとめたものです。
ふるさと納税は、生まれ故郷や応援したい地方自治体に寄附すると住民税などが控除される制度です。
調査結果によると、ふるさと納税の受入額は総額1兆2,728億円で、前年度比13.9%増となりました。一方、受入件数は5,879万件で、前年度比0.3%減少しています。
また、ふるさと納税に係る住民税控除額は8,710億円(前年度比13.3%増)、控除適用者数は1,080万人(同7.8%増)といずれも増加しています。このうち、52.8%にあたる約570万人が「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の適用を受けており、この特例制度も広く定着したことがうかがえます。
都道府県別にみると、東京都のふるさと納税に係る住民税控除額は2,161億円、神奈川県902億円、大阪府689億円と、大都市部から住民税が流出している状況です。こうした税収流出によって行政サービスに影響が出かねないと懸念する大都市部の自治体もあります。
一方、受入額が最も多かった自治体は、兵庫県宝塚市で257億円(このうち約254億円は市民2人による市立病院への寄附によるものです)。続いて北海道白糠町が212億円、大阪府泉佐野市が182億円となっています。

出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」
ふるさと納税をめぐっては、自治体間の競争が過熱し、制度の趣旨から逸脱するケースが増えたことから、制度のルール改正が行われています。令和7年10月1日からは、寄附に際しポイント等を付与する事業者を通じた寄附募集が禁止される(募集適正基準の改正)ことになりました。
基準に適合しているかどうかは、指定対象期間(10月1日から翌年9月30日)を通じて判断され、基準を満たさなかった場合には、翌指定対象期間から指定が取り消されます。
返礼品の産地偽装が問題となった長野県須坂市や、寄附額に対する返礼品調達費用の上限割合を超えていた岡山県吉備中央町は、令和6年10月1日から2年間、ふるさと納税制度の指定が取り消されています。一度指定取消しとなった場合、2年間は復帰ができません。そのため、自治体にはより慎重な対応が求められます。