税のトピックス

2023年2月6日

  • 税制改正

令和5年(2023年)度税制改正法案、国会提出へ

令和5年(2023年)度税制改正法案、国会提出へ

 政府は、令和5年度税制改正関連法(所得税法等の一部を改正する法律)案を2月3日に閣議決定し、国会に提出しました。この法案は、所得税法、法人税法や租税特別措置法など国税に関する税制改正法案です。施行日は原則として令和5年4月1日を予定しています。

 「法律案の概要」によると、本法案では、「 家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化するための税制上の措置を講ずる。より公平で中立的な税制の実現に向け、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置の導入、グローバル・ミニマム課税の導入及び資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築を行う。 」としています。

法律案の概要に記載された主な具体的な措置は、下記の通りです。
● 個人所得課税
○ NISA制度の抜本的拡充・恒久化
 ・ 年間投資上限額の拡充(「つみたて投資枠」:120万円、「成長投資枠」:240万円)
 ・ 一生涯にわたる非課税限度額(1,800 万円)の設定(うち「成長投資枠」は、1,200 万円)
 ・ 非課税保有期間の無期限化等
○ スタートアップへの再投資に係る非課税措置の創設
 ・ 保有する株式の譲渡益を元手に創業した等の場合に、出資分につき株式譲渡益に課税しない制度を創設(上限20億円)
○ 極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置の導入
 ・ 基準所得金額から 3.3 億円を控除した金額に、22.5%の税率を乗じた金額が基準所得税額を超過した差額の追加的な申告納税を求める措置の導入
● 資産課税
○ 資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築等
 ・ 相続時精算課税の基礎控除の創設、暦年課税における相続前贈与の加算期間の延長等
● 法人課税
○ 研究開発税制の見直し
 ・ 税額控除率の見直し、税額控除上限を変動させる仕組みの導入等
 ・ 特別試験研究費の対象費用に博士号取得者等の人件費を追加
○ オープンイノベーション促進税制の見直し
・ M&Aにより取得した一定の株式を対象に追加
● 消費課税
○ 適格請求書等保存方式の円滑な実施に向けた所要の措置
○ 承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例措置の創設
○ エコカー減税の延長・見直し
● 国際課税
○ 最低税率15%以上の課税を各国ごとに確保するためのグローバル・ミニマム課税の導入
● 納税環境整備
○ 課税・徴収関係の整備・適正化
 ・ 高額な無申告に対する無申告加算税の割合の引上げ等
● 期限切れ租税特別措置の延長
○ 土地の売買による所有権移転登記等に係る登録免許税の軽減措置の延長(3年)
○ 旅行者等が入国の際に携帯等して輸入する紙巻たばこの特例措置の延長(1年)

この法案は、この後国会で審議され、3月中には可決成立する見込みです。

 令和5年(2023年)度税制改正の詳しい内容及び実務上の留意点等は、 弊法人ホームページ「速報 令和5年度(2023年度)税制改正解説」 をご覧ください。

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