国税庁は、ホームページに名古屋国税局の文書回答事例として「非居住者となった場合の上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用について」を公表しました。名古屋国税局に、納税者から事前照会があり、その事前照会に回答したものです。
この文書回答では、海外赴任により非居住者となり、国内源泉所得がない年でも、損失申告書を提出することで「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」の適用要件を満たせるという見解を示しています。
事例の背景
納税者はX1年に上場株式等の譲渡損失を発生させ、繰越控除の適用を受けるため確定申告書を提出しました。その後X2年に海外赴任し、X4年まで非居住者となりました。問題は、X3年中に国内源泉所得がなく、通常の確定申告書を提出できない状況で、繰越控除の適用要件である「連年提出要件」を満たせるのかという点でした。

出典:国税庁「非居住者となった場合の上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用について(文書回答事例)」
事前照会者の求める見解となる理由(名古屋国税局の見解)
名古屋国税局は、事前照会者の見解のとおりで差し支えないとし、恒久的施設を有しない非居住者であっても、租税特別措置法第37条の12の2第9項の規定により「損失申告書」を提出できるという見解を示しました。
この見解の根拠は以下の通りです:
- 繰越控除の適用を受ける年に「居住者又は恒久的施設を有する非居住者」であることが求められている(にとどまると解される)こと
- 損失申告書の規定は、連年提出要件との関係で設けられたものであり、所得がない年でも損失申告書の提出により要件を満たせるよう措置されていること
- 所得税法第166条の準用により、恒久的施設を有しない非居住者についても損失申告書の提出が可能と解されること
なお、名古屋国税局は回答内容について、あくまでも名古屋国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではないとしています。