海外デスクレポート

2025年5月23日

税制改正草案“One Big Beautiful Bill Act” (米国)

税制改正草案“One Big Beautiful Bill Act” (米国)

5月12日に下院で草案(総ページ数1116ページ)が公表されましたが、再審議となりました。その後5/22に下院を通過しました。今後は、上院で審議となります。先の大統領選で上院下院ともに与党(共和党)が過半数を有しているため、大規模な修正は生じないと見込まれていますが、取り扱いにはご注意ください。

 

税目 項目 概要 補足 影響




税率 ・現行の個人税率を恒久的なものにする ・現行税率は2025年末で期限切れ
 (第1期トランプ税制“TCJA”)
減税
時間外労働 ・適格な時間外労働賃金に対する控除。 減税
チップ ・適格なチップに対する控除。 減税
州税控除 ・州税控除限度額を40,000USDに増加
(再審議前の案は30,000USD)
・現在の控除限度額10,000ドル 減税

自動車ローン利息

・個人自動車ローンの利息支払いに対する控除 減税
適格事業所得控除  ・パートナーシップやLLCからの事業所得に対する税率を実質的に引き下げる。現行の特別控除を恒久化し、控除率を事業所得を23%へ引き上げる。 ・現行制度は2025年末で期限切れ
 (第1期トランプ税制“TCJA”)
・現行の控除率20%
減税
遺産税/贈与税 生涯控除額 ・2025年までに15百万USDに設定し、その後はインフレに合わせて調整する。 ・現行制度は2025年末で期限切れ (第1期トランプ税制“TCJA”) 減税

国際税務

GILTI

・基本的に現在のシステムを変更せず保持する。 増税
「悪い国」罰則税 ・米国企業への「差別的な」税を課す国の企業/個人所得への罰則税を5%導入する ・欧州のデジタルサービス税等に対する対抗措置 増税
研究開発(R&D)費 ・R&D費用の直接控除を復活 ・現在は資本化そして償却が必要 減税
ボーナス減価償却 ・100%ボーナス減価償却を復活 ・現在は、2022年に廃止された後、年20%ずつ減少中 減税
大学寄付収入 ・大学寄付収入に最大21%の課税を導入 ・現在は非課税 増税
私的財団収入 ・私的財団収入に最大10%の課税を導入 増税

 



  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 池田 美保

    この記事の著者

    池田 美保
    Director
    米国公認会計士

    米国において20年以上の国際税務の経験を持ち、大手会計事務所およびFortune 500企業の税務部門での勤務経験を有する。個人および法人の国際税務、組織再編、税調査対応、税務プランニングに精通し、幅広い業種に対応。
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