1. はじめに
沖縄県では、地域経済の活性化および持続的な発展を目的として、名護市を経済金融活性化特別地区(以下、経金特区)として指定しています。本特区は、沖縄の地理的・産業的特性を踏まえ、金融、情報通信、観光、農業・水産養殖、製造業など幅広い分野の事業活動を支援するため、税制上の優遇措置(所得控除、投資税額控除、特別償却、エンジェル税制、地方税の課税免除)が設けられている点が特徴です。本稿では、これらの措置のうち、法人税における所得控除制度を整理します。
2. 所得控除
(1)概要
経金特区内で事業を行い、沖縄県知事の認定を受けた法人については、設立後10年間にわたり、認定事業から生じた所得を基礎として算定した一定の控除額を、各事業年度の損金に算入することが認められています。控除額は、認定対象事業に係る所得の40%を基準とし、法人全体に占める特区内事業所の従業員割合(特区内の事業所の常時従業員数÷当該法人全体の常時従業員数)を考慮して算定されます。
(2)認定要件
経金特区における特定経金活性化事業について知事の認定を受けるには、沖縄振興特別措置法等に基づき、主に以下の要件を充足する必要があります。
① 2014年4月10日以降に特区内で設立され、特区内に本店または主たる事務所を有していること
② 特区内事業所で常時勤務する従業員※1のうち、5名以上が特区または隣接・次隣接市町村※2に居住していること
③ 設立から10年以内であること
④ 風俗営業等に該当せず、社会的信用を損なうおそれのある事業を行っていないこと
⑤ 事業計画が適切であると認められること
⑥ 業務の運営が適切に行われることが確実であると認められること
⑦ 区域内では、主として対象産業を営むものであること
⑧ 法人全体としても、対象外事業が主たる事業とならないこと
※1 役員や短期雇用者等については、「常時使用する従業員」には含まれません。
※2 下記特区および隣接、次隣接市町村に住民票がある必要があります。

(沖縄県HP 「070210keikintebki..pdf」をもとに作成)
(3)対象事業
本制度の対象事業は、内閣府および沖縄県が定める産業分野に該当するものに限定されています。

(内閣府HP 「keikin.pdf (保護)」をもとに作成)
(4)手続き
特定経済金融活性化事業の認定は、2027年3月31日までに取得する必要があります。認定の申請にあたっては、事前申請機関(ワンストップ相談窓口)への事前相談を経たうえで申請書を作成し、電子申請により手続きを行います。認定期間中は、毎事業年度終了後に事業実施報告書を作成し、提出する必要があります。なお、申請から認定まで一定の期間(おおむね1~2か月程度)を要することから、スケジュールには十分な余裕を持つことが重要です。認定を受けた法人については、沖縄県のホームページ上で法人概要が公表されます。
3. おわりに
経金特区における所得控除制度は、法人税負担の軽減効果が大きく、要件を満たす企業にとって有効な税務上の支援策といえます。一方で、認定要件や事後的な管理も求められるため、活用にあたっては慎重な検討が不可欠です。
執筆:前田 悠二 maeday@yamada-partners.jp