税のトピックス

2023年11月6日

  • 税制改正
  • その他

政府、事業規模37.4兆円の経済対策を公表

政府、事業規模37.4兆円の経済対策を公表

政府は、新たな経済対策である「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージに向けて~」を公表しました。事業規模は、37.4兆円程度となる見込みです。

本経済対策は、「変革を力強く進める「供給力の強化」と、不安定な足元を固め、物価高を乗り越える「国民への還元」の2つを「車の両輪」として、日本経済が熱量溢れる新たなステージへ移行するためのスタートダッシュを図るための総合的な経済対策を策定・実行し、「新しい資本主義」の実現に向けた取組を更に加速する。」とし、下記5つの柱で構成されています。

 

第1の柱:物価高から国民生活を守る

第2の柱:地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する

第3の柱:成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する

第4の柱:人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する

第5の柱:国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する

 

 

本経済対策に掲げられた施策の中で、2024(令和6)年度税制改正において検討される項目をご紹介します。

 

◆ 所得税・個人住民税の定額減税の実施(第1の柱:物価高から国民生活を守る)

賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えする所得税・個人住民税の減税を行う。

  • 納税者及び扶養家族1人につき、令和6年分の所得税3万円、個人住民税1万円の減税
  • 令和6年分所得税額が所得税減税額を下回る場合、翌年度分個人住民税において残額控除
  • 源泉徴収義務者の事務負担にも配慮し、令和6年6月から減税をスタート

MicrosoftTeams-image-1

出典:内閣府「総合経済対策 政策ファイル」

 

◆ 賃上げ促進税制の強化(第2の柱:地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する)

物価高に負けない賃上げを実現できるよう制度を強化。

中小企業等の赤字法人においても賃上げを促進するための繰越控除制度を創設するとともに、措置の期限の在り方等を検討。

 

◆ 事業承継税制(第2の柱:地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する)

特例承継計画の提出期限の延長等を実施。

 

◆ 戦略分野国内生産促進税制(仮称)(第3の柱:成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する)

民間として採算性に乗りにくいが国として特段に戦略的な長期投資が不可欠となる投資を対象とする、戦略分野国内生産促進税制(仮称)の創設。

 

イノベーションボックス税制(第3の柱:成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する)

海外と比べて遜色なく民間による無形資産投資を後押しする観点から、国内で自ら研究開発した特許権等の知的財産から生じる所得に対して優遇するイノベーションボックス税制の創設。

MicrosoftTeams-image (2)

出典:内閣府「総合経済対策 政策ファイル」

 

◆ ストックオプション税制の措置の充実(第3の柱:成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する)

人材確保の円滑化に向けて、ストックオプション税制の年間の権利行使価額の上限額の引上げなど、利便性を向上させるための措置の充実。

 

 

「所得税・個人住民税の定額減税の実施」以外の施策については、経済産業省が令和6年度税制改正において改正を要望している内容でもあります。今後はじまる税制改正の議論が注目されます。

 

税のトピックスに戻る