国税庁・国税不服審判所は、「令和5年度における再調査の概要」「令和5年度における審査請求の概要」「令和5年度における訴訟の概要」を国税庁ホームページに公表しました。
国税に関する処分について納税者に不服がある時の救済制度には、処分庁に対する「再調査の請求(旧異議申立て)」、国税不服審判所長に対して不服を申し立てる「審査請求」(不服申立制度)と、裁判所に「訴訟」を提起して処分の是正を求める救済制度があります。
このうち「再調査の請求」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続きをいいます。国税不服申立制度の改正により、平成28年4月1日以後に行われる処分に係る不服申立てから「異議申立て」は「再調査の請求」へ名称変更されています。
「審査請求」は税務署長や国税局長などが行なった処分に不服がある場合に、その処分の取消し等を求めて国税不服審判所長に対して不服を申し立てる制度です。
各概要を見ると、令和5年度の課税処分に対して納税者が起こした再調査の請求は2,494件で、前年度と比べると62.7%増加しています。また、国税不服審判所に審査請求したケースは、同比29.1%増の3,917件、訴訟となったのも同比9.2%増の189件となり、いずれも前年と比べて増加しています。
訴訟の発生件数を税目別にみると「所得税」が最も多く62件、「法人税」50件、「相続税・贈与税」22件と続きます。「所得税」は税目の中では件数が多いものの、訴訟件数が多かった平成23年度144件と比べると、件数は大幅に減少しています。「法人税」の件数は、前年度39件から増加しています。
出典:国税庁「令和5年度における訴訟の概要」等より作成
訴訟の終結件数は、172件ですが、このうち国側が敗訴したものは13件(一部敗訴8件、全部敗訴5件)で、その割合は7.6%(前年度比2.2ポイント増加)となっています。