税のトピックス

2025年5月19日

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経済産業省・中小企業庁、2025年版中小企業白書等を公表

経済産業省・中小企業庁、2025年版中小企業白書等を公表

経済産業省・中小企業庁は、2025年版中小企業白書等を公表しました。2025年版白書では、激変する環境において、中小企業・小規模事業者が課題を乗り越え、成長・持続的発展を遂げるに当たって重要とされる「経営力」に焦点を当て、事例を交えつつ分析が行われています。

具体的には、第1部では、「令和6年度(2024年度)の中小企業の動向」について、第2部では「新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略」として、【1】中小企業の経営力、【2】スケールアップへの挑戦を取り上げています。

 

2025年版中小企業白書・小規模企業白書の概要

1令和6年度(2024年度)の中小企業の動向

  • 令和6年度は円安・物価高が継続し、30年ぶりに「金利のある世界」が到来しました。輸出より輸入比率が高く、借入金依存度も高い中小企業・小規模事業者にとっては、これらは利益下押しのリスクとなり得るため、中小企業・小規模事業者が直面する状況は依然として厳しい状況です。
  • また、2024年の春季労使交渉では、約30年ぶりの賃上げ率を達成しましたが、大企業との差は拡大しました。中小企業の労働分配率は既に8割近いため、更なる賃上げ余力も厳しい状況である。一方で、人手不足は依然として深刻な状況にあるため、人材確保のために業績改善を伴わない賃上げも増えています。
  • こうした状況を踏まえれば、コストカット戦略は限界を迎えています。物価、金利、人件費の上昇と、構造的な人手不足に直面する今こそ、積極的な設備投資・デジタル化と、適切な価格設定・価格転嫁の推進により、付加価値や労働生産性を高める経営に転換していくことが必要です。

 

2新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略

  • こうした課題を乗り越え、成長を遂げるに当たっては、経営者の「経営力」の向上が重要です。本白書では、「経営力」について、A.個人特性面(他の経営者との交流、学び直しに取り組む経営者の成長意欲)、B.戦略策定面(経営計画の策定・実行、差別化や市場環境を意識した適切な価格設定等)、C.組織人材面(経営理念や業績等の共有を重視するオープンな経営や従業員を大切にする人材経営)の3つの観点から分析を行い、経営力の向上が業績向上や人材確保に向けて重要であることを示しました。
  • その上で、中小企業が成長を遂げるには、売上高規模ごとに異なる「成長の壁」の打破が必要となります。成長の加速段階では、経営者にないスキルを持つ補完型人材の確保や、経営者の職務権限分散による一人経営体制の克服等が重要であり、売上高100 億円以上では、拡大する組織を経営者と共に支える経営人材やDX人材の確保等が重要です。また、企業規模拡大には、積極的なM&A やイノベーション、海外展開の推進が有効な手段となり得ます。
  • 小規模事業者では、事業規模・商圏が限られる中、差別化による独自の強みの創出が重要です。また、経営計画策定等を通じ、経営者のリテラシーを高め、経営の振り返りと改善のサイクルを通じた「経営の自走化」を目指すことも重要です。加えて、地域の社会課題解決事業を担うビジネスの推進も期待されています。

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出典:中小企業庁「2025年版中小企業白書の概要」

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